「響きと怒り(下)」 フォークナー作 平石・新納(にいろ)訳 (岩波文庫) ジェファソンの名家コンプソン一族の没落を、4人の視点から描いた作品です。 前回の続きです。
第3章に入ると、語り手は次男のジェイソンに移りました。 ホッとしました。ようやく理解できる(まともな?)文章になりました。 ジェイソンは、ひねくれた男で、根性が曲がった嫌なヤツです。 でも、私は好感を持ってしまった。彼の言葉は、ちゃんと理解できたので。 そして第4章に入ると、客観的な文章になり、物語の全貌が見えてきました。 第1章や第2章で、文章と格闘してきた苦労が、やっと報われた気がしました。 しかし、私がこの小説について感じたことは、「パズルだ」ということです。 最後に、「解けた!」という喜びはあるものの、ただそれだけ。 確かに衝撃的な作品ですが、魂を揺さぶる何かが発見できたわけではない。 読み終わったときの余韻はなく、「だから、なに?」と思ってしまいました。 それはおそらく、私が文章をうまく理解できなかったからだと思います。 第1章と第2章を、読み飛ばしてしまったせいもあるかもしれません。 何年かのちに、2回目を読んだときに、目からウロコになるといいのだけど。 さて、今回も、まだ読んでいない人に、アドバイス。 ぜひ下巻の付録「コンプソン一族」を先に読んで、予備知識を付けましょう。 「そんなことしたら、ネタバレだろ」と、言う人もいるかもしれません。 しかし、かつてフォークナー自身が、これを序文にしようと考えていたという。 それにしても、やはり第1章は、やりすぎだったのではないか。 作者の意図は分かるけど、ここまでやったら芸ではない。遊びですよ。 この作品の魅力は、私にはよく理解できませんでした。 でも、フォークナーはもう少し読み進めたいと思います。 幸い、新潮文庫から、「サンクチュアリ」「八月の光」が出ています。 そして岩波文庫からは、名作「アブサロム、アブサロム!」が出ています。 さいごに。(お化け屋敷でリタイヤした理由は) 娘たちがお化け屋敷に2度入り、2度ともリタイヤしたことを、前回書きました。 2回目にわずか1分でリタイヤしたのには、次のような事情があったのです。 娘たちと一緒に入った大人が、暗闇でいきなりこけて、娘たちにぶつかった。 娘たちはびっくりしてパニックになり、慌てて入口から出て来てしまった。 理由は何であれ、お化けが登場する前に、逃げ帰ってしまうとは・・・↧