「文様別 そば猪口図鑑」
監修:大橋康二
発行:青幻舎
小さな器の中に描かれている、四季や動物などの世界は収集家を飽きさせないという。
「そば猪口」は江戸時代に肥前磁器が最も多く作り多種多様な文様を表した。
もちろん、その形や色使いだけではないらしい。
江戸前期の十七世紀後半頃に現れるこの形の器は、本来、用途はそばを食べるためのものではなかったとの話や、ヨーロッパ向けに作られた「そば猪口」の話など、この形の器が持つ特殊な魅力、歴史など、引き込まれる要素はたくさんあるようである。
本書は植物(蔓草類、紫陽花、柳、秋草、野菜など)、動物(鳳凰、鶯、雁、獅子、虎、昆虫など)、人物(唐子、竹林人物など)、自然(富士山など)、宝(宝、宝珠など)、幾何(矢羽根など)といった分類で、1104点のそば猪口が掲載された図鑑である。
各作品のカラー写真が載っており、中には、寸評や歴史的な背景等の解説がある。
技法・釉薬(染付・色絵・青磁など)、寸法(高さ×口径の順で単位はセンチメートル)、産地(肥前・有田や瀬戸・美濃など)、口縁部の文様と形状(四方襷・口金・口紅・端反・輪花など)、見込の文様(五弁花・環状松竹梅・圏線など)、底裏銘と形状(大明年製・渦福・冨貴長春・蛇目凹形など)、裾の文様(蓮弁・圏線など)、公共機関の所蔵者などが分かる範囲で掲載されている。
巻末に肥前磁器の歴史とそば猪口の関連年表が載せられている。
↧