評価:★★☆
「カーの復讐」と言っても、ディクスン・カーが生き返って
復讐しに来るわけではない(あたりまえ)。
「カー」とは、エジプトの言葉で「生き霊」とか「怨霊」みたいな意味らしい。
考古学教授・ボーバン博士が、エジプトでの発掘品をパリで一般公開するが、
博士のもとには展覧会中止を求める脅迫状が届き、
ボーバン博士の城館には謎のミイラ男が出没する。
展示品に含まれる<王家の秘宝>奪取を目論む怪盗ルパンだが、
図らずも、密室殺人事件の解明に挑むことになる。
1911年に発行されたルブランの原本を二階堂黎人が入手、
それを子ども向けに翻訳したもの・・・という設定で書かれた
講談社ミステリーランドの一冊が文庫化されたものである。
ルパンは泥棒ではあるが、しばしば探偵役となって
さまざまな事件を解明してきたことは、
子どもの頃にルパン・シリーズに夢中になった人なら先刻ご存じだろう。
この作品も、「古城」とか「洞窟」とか「暗号」とかの
冒険ものガジェットてんこ盛りで、その手のものが好きな人には堪らないだろう。
さらに、ルパンの快刀乱麻の名探偵ぶりまで楽しめる作りになっている。
ただ、やはり対象年齢が低めの作品なので、やや食い足りない感は残る。
二階堂蘭子嬢の活躍する新作が読みたくなってしまったよ。