『ヒンシュクの達人』 ビートたけし 2013/12
『週間ポスト』の連載「ビートたけしの21世紀毒談」から抜粋しまとめた本。
同じ悪口や暴言を言うにしたって、言い方やタイミング次第で、それは笑いや救いに変わる。言いたい放題だからって、それは決して何も考えずに思ったことをぶちまけているわけじゃない。
橋下市長もいつの間にか飽きられちゃって、世間の注目を引こうとシモの話にまで手を出しちゃった。「落ち目のアイドル」と大差ない。古臭いジイサンたちと合流なんてしないで一番人気があった頃に自らドーンと国政に進出しとけば良かったのに。
政治家に本当に必要なのは「官僚を使いこなす力」。官僚を打ち負かすなんてのは「素手でライオンやヒグマに勝つ」って言ってるみたいなもんで、それをマニフェストにしたって誰も信用しない。
バイク事故(94年)で人生が丸っきり変わった。今でもたまに、「あの事故で昏睡状態になって、それからの人生は、夢を見ているだけなんじゃないか」と思うことがある。そんな儲けもんの人生だから、あとはやりたいことをやって笑って暮らそうと思う。
『戦メリ』で坂本龍一がデビット・ボウイに抱きつく有名なシーンがあるだろ?あのとき画面がストップモーションのようにカッカッカって揺れるんだよ。実はあれはカメラの故障で偶然フィルムが引っかかっただけなんだ。
プロレスも漫才も今の若手の方が技術的にはだいぶ上だと思うんだけど、それが人気や視聴率に比例するわけじゃない。「成熟はブームの終わり」で、すべてのエンターテインメントは技術が上がれば上がるほど食えなくなるという矛盾と戦っていくしかない。
「いじめ問題」が毎日話題になっているけど、これはもう「犯罪」。「暴行罪」「脅迫罪」「恐喝罪」と、ホントの罪状で呼んでやらないと。これは「犯罪だ」ってことをガキの足りない頭でもわかるようにしてやんないと。
親にとって大事なのは、夢敗れた子供のために逃げ道を用意してやること。人間は決して平等じゃない、努力したって報われないことの方が多いっていう厳しい現実を、子供の頃から叩き込んでおいてやるってことなんだよ。
富士山が世界文化遺産に登録された。でも日本にはもう17も世界遺産がある。あんまり数が増えちゃうと「モンドセレクション金賞」みたいになっちゃうぞ。
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『ヒンシュクの達人』
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