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第三百九十話_short 生きる執念

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 くそっ。こんなところで死んでたまるか。

 荒野の真ん中で達也は思った。

 なにかの映画で見たことがある。もう駄目だと思った瞬間、死に一歩近づいてしまうのだと。なんとしてでも生き抜くのだという強い信念があってこそ、人は生き延びることができるという。それはどんな場面でもそうに違いないと達也は理解している。

 たとえば病室で病魔と闘う者にとっても、病に負けたと思ってしまうと、まもなく死が訪れる。戦場で敵と戦う場合などとりわけそうだ。どんなことがあっても相手を殺して自分が生き残るのだという強い思いがあってこそ、勝つことができるのだ。

 そういう生への執念は、ボクシングのリングの上でも、テニスコートでの戦いでも、もしかしたら命の戦いとまでいかない受験戦争においてでも、とにかく最後まで生き延びる人間は、なんとしてでも生き残るのだという強い信念を持った人間なのだと思っている。

 荒野の真ん中で恐ろしい化け物と闘って、なんとか勝つことができた。しかし、周囲にはまだまだ沢山の脅威が潜んでいるはずだ。街まで戻るにはこの荒野をつっ切らなければならないのに、達也のライフゲージはほとんどゼロに近いところをしめしているのだ。

 このまま化け物と出会わずに街までたどり着ければいいのだが……そう願いながら荒野を進んでいったのだが、ついに新手の化け物と遭遇してしまった。

 くっそ! なんとしてでも生き延びるぞ!

 そうは願っても、いくら強い執念を燃やしても、もはや無理といものだ。化け物の最初の一撃で達也は死んでしまった。

「ちっ、終了だぁ! 悔しい、もう一度」

 達也はモニターを見ながらマシンをリセットした。 

                      了


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