『世界は仕事で満ちている』 降旗学 2008/06
著者はノンフィクション作家。 あまり知られていない38の仕事内容をルポした本。
『日経ビジネスオンライン』に連載された記事を加筆したもの。369ページ。
仕事は選ぶものではなく、仕事に人が選ばれるもの、出会うものだという。本書に出てくるのは、”仕事に選ばれたひとたち”。
口紅調合師やブラジャー開発者は、男であっても自分で付け心地を試すことがある。口紅を落とし忘れて帰宅することもあるとか。
レストランの覆面調査員は、食べて報告書書いて終わりというわけではない。本書で紹介されている人物は、フランチャイズのスーパーバイザーで、調査が目的ではなく、フランチャイズ店のレベル維持・向上が目的である。覆面調査中に”ヤバイ”と感じたら、即厨房に乗り込んで直接実技指導。経営から料理まで一切に精通していなければ務まらない。
霊柩車の”棟梁”は元大工。”宮型”の霊柩車に使う檜は仕入れが800万円だという。”輿”は日に焼けるので、3ヶ月から半年に1度くらい分解してカンナをかける。総重量は800kg。
AVモザイク処理オペレーターは1日1タイトルくらいの頻度で作業を行う。15年で4000タイトルは担当した。年収は600万円で正社員。興奮するのは最初の2週間くらいだという。
コンドームは医療機器の扱いで外部モニターが使えない。開発者は自宅に持ち帰って試すしかないそうだ。従来品や他社製品など、平均4回は試すとか。
流しのはんこ屋なる職業がある。ゴムはんこを客のオーダーで作る。1本千円弱。1日平均30本は売れる。
焼きイモ屋は意外ともうかる。経費を抜いて週25万円くらいの利益。季節性はあるが。
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