シンフォニックロスト 著者:千澤のり子 点数:70 読んだことがなかった作家さん、しかも女性ということで興味津々に読んだ。 主人公が吹奏楽部の中学生という設定しかり、恋愛模様の描き方しかり、いかにも女性らしい印象。 ただ、ストーリー展開は結構えげつなく、序盤からぞくぞくと吹奏楽部内で殺人事件が起こる。 ここでイマイチなのが、推理小説でありながら主人公が事件の謎を解こうとしないこと。 自分のホルン演奏のことばかり気にして、事件の行方はそっちのけ。 なのにラストで急に「君が犯人だったのか・・」となられても、読者に考える余地がない。 しかも、驚かせるポイントが、犯人の意外性とかトリックの斬新さとかではなく、 主人公の入れ替わり。 確かに「へぇ」とはなるけれど、その意外性と物語との関連が弱く、 「だからどうしたの?」となってしまう。お陰で読後の満足感も薄くなってしまった。
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