文庫3冊

　赤川次郎『グリーンライン』読了。

　横浜の地下鉄線のことではなかった。赤川先生の作品としては、ちょっとやりきれなさが残るというか、テーマが悲惨すぎる。爽やかな表紙の感じとは裏腹。先生の特徴として、ぐんぐん読めるということはあるけれども。 　ねじめ正一『高円寺純情商店街本日開店』読了。 『高円寺……』シリーズ第二弾。そうか、高円寺辺りは森茉莉なんかの本当に東京山の手の人から見れば、下町ですらないのか、と田舎者はあとがきを見て愕然とする。が、確かに「地域社会」はあるものの、「下町」感はあんまりないな。これもまた悲しげな後味の残る小説。高円寺阿波踊りは見たくなったけど。 　松井今朝子『並木拍子郎種取帳　四文屋』読了。 　先に同シリーズの『三世相』を読んでいるので、順番的にはあっているが、一と二を読んでいない。あまりうんちくを披露せずに人情をきめ細やかに描いていて、楽しく読めるのだけれども、この主人公の男女の行方が気になって、気になって……。