内容(「BOOK」データベースより)「桜宮サーガ」完結編との前評判らしく、図書館で予約しようとすると30人以上の順番待ち。それでもなんとか順番が回ってきて、満を持して読み始めたのだが…。 う~ん。海堂尊はもういいかな。『チーム・バチスタの栄光』を人から薦められ、それ以降ほぼ全作品を読んできたが、これだけ登場人物が入り乱れると、もう何がなんだかよくわからない印象だ。いまさら昔の作品を読んで調べなおす気力も湧いてこない。最初のうちは長編の連作で時間軸と空間軸を組み合わせてお得感もあったが、ここまで桜宮サーガを拡げると、読者としてはついていけない。 『輝天炎上』は『ケルベロスの肖像』と対になっている作品で、両方読めばAiセンターの爆発炎上事故も立体的によくわかるということだが、僕にとってはそれだったら1冊でしっかり描いて欲しいし、それを2冊に分けて小出しにするという発想自体、商売優先のご都合主義に映る。両方読まないと話がわかりませんよ、と言われているようで遺憾である。しかも、『輝天炎上』は四部構成で、第1部から3部までを、それぞれ天馬大吉、桜宮小百合、桜宮すみれの視点で描いているが、視線を統一してもうちょっと丁寧な描き方がされてもよかったのではないかと感じる。 自分が住民の立場なら、これだけ火災や爆発炎上を起こすような危険な石油化学コンビナートやデパート、医療機関がある自治体には住みたくないし、こんなに権謀術数と陰謀が渦巻く医療機関のお世話にもなりたくない。この手法で桜宮サーガを膨らまし続けるのはもう限界ではないのだろうか。
桜宮市の終末医療を担っていた碧翠院桜宮病院の炎上事件から1年後。東城大学医学生・天馬大吉は学校の課題で「日本の死因究明制度」を調査することに。同級生の冷泉と関係者への取材を重ねるうちに、制度自体の矛盾に気づき始める。そして、碧翠院の跡地にAiセンターが設立され、センター長に不定愁訴外来の田口医師が任命されたことを知る。時を同じくして、碧翠院を経営していた桜宮一族の生き残りが活動を開始する。東城大への復讐を果たすために―。
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『輝天炎上』
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