遠藤徹『くくしがるば』
あまりの美しさの為、見たものが砂になってしまう。父であるミカドに疎まれ北東宮に追いやられていた有馬温泉駅前旅館皇女が懐妊した。取り乱したミカドは、刺客として新造人間忍を差し向けるが…表題作他短編1編収録。
ぐちょねちゃエロコメ、時にセンチメンタルなのが作風の筆者。ですが本作はひたすら不条理、それも最初から計算されたものではなく、途中から勢いだけになっている感じ。イマイチでした。何となく呼んでいて”阿修羅ガール”が思い浮かんだね。阿修羅もうほとんど忘れちゃったけれどさ。
言葉にリズムがあって、しゃちほこばった表現が妙に軽く出てきたりするため、面白くは読めるのですが、なんだか全然分からない。話の前後に常に引っ掛かるところが存在します。どうでも良さそうなキャラがそこそこ重要な仕事を担っていたり、最初目立っていたキャラがフェードアウトしたり。
なお短編”おがみむし”はより一層…”作られた不条理”感があって割と嫌でした。西尾維新の”ニンギョウがニンギョウ”に感じた類のいやな感じだな、こりゃ。