・坂道のソラ/朝丘戻 ダリア文庫
同じバスに乗り合わせる、会社員(モバイル用ソフト会社の副社長)と親が海外赴任のため一人暮らしをしている高校生の恋の話。
朝丘さんの話は、心が温かくなる。
ドロドロしている暗い話でも、最後は温か。
そして、BLなのに、現実感がある。
どこにでもいる身近にいるような人が、今ここに生きて生活をしている感がある。
主人公の一吹くんも、そんな感じ。
彼と同じバスに乗って通っているミチルちゃんも、同じクラスのコウジくんもツトムくんも。
痴漢するひょろりんも、チャラ男こと戸崎くんも、みんなそれぞれの人生がある。
あと、朝丘んの話は、切ない。
明るい恋も、切ない。
それは、好き、ていう気持ちが切ないから。
チャラ男くんにだって、頑張れ!と応援したくなる。
一吹くんの好きという感情は、とても切ない。
賢司さんと親しくなって、惹かれていって、自分を変えるために彼女を作ろうと約束して、でもそれはどうやっても無理で。
自分はゲイだから、彼女は作れなくて。
賢司さんのことは好きだけれど、家族のためにも結婚して子供を育ててという彼に、言えなくて。
一緒にいたい、けど、自分の気持ちは言えない。
そんな一吹くんが、愛おしい。
賢司さんとのチャットやメールでの、心温まるやりとり。
朝のバスでのひととき。
一吹くんの人柄が出ていて。
賢司さんの人柄が表れていて。
とても愛おしくなる。
あとがきの後の、短い3年後の話。
みんな、元気なんだね。
幸せそうで、よかった。
まとまりがない文になっちゃいました。
★★★★