Quantcast
Channel: So-net blog 共通テーマ 本
Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

『寿命1000年』

$
0
0
『寿命1000年』 ジョナサン・ワイナー 2012/07 寿命一〇〇〇年: 長命科学の最先端  著者はサイエンスライター。ピュリッツァー賞受賞。 近年の老年学・生命科学を紹介する本。  例によってアメリカのサイエンスライターの本は物語り部分が長ったらしくていかん。  ケンブリッジ大教授デ・グレイはヒトの寿命が500年または1000年になると予想する。そんな時代が50年、ことによると15年で訪れるかもしれないという。  毎日10万人が老齢で亡くなっている。これは命の問題だとグレイは語る。  長寿の研究を老年学という。現在平均寿命は10年で2年、1日に5時間の割合で伸びている。しかし寿命は一定の限界に達しようとしており、さらに平均寿命や最長寿命を延ばすには生命の源泉にかかわる画期的な進展が必要となるというのが多くの学者のコンセンサスである。  しかしデ・グレイは寿命に限界はないと考える異色の研究者だ。彼はコンピュータエンジニアだったが、『老化のミトコンドリアによるフリーラジカル説』という専門書を出版し生物学博士の学位を得る。  グレイによれば、(細胞の)浄化と修復を行えば何歳であっても死ぬ確率は20歳の時と変わらない。実質的に不老不死になるという。  老化を征服しようと試みる人々によれば、老化は疾患である。生命は発生・成長については入念な計画を持つが、老化については何の計画も持たない。老化現象の原因を見つけようとしても難しいのはこのためだ。老化には多くの原因が有る。  グレイは死を招く老化原因を7つにまとめている。この7つ目が癌である。原因の6つ目までは対策が分かっている。(”分かる”と”できる”は別問題だ) 7つ目の癌について、「テロメア伸長の全身阻止」法というアイデアを考え付いた。テロメラーゼがなければ早期に分裂限界に達して癌細胞が発生しなくなる。「ただ1個の遺伝子、テロメラーゼ遺伝子を死滅させればそれですむ」と述べる。  しかし老年学者の全体では、老化が一つのまとまった問題であるか、そもそも「老化」という現象があるかどうかについてすら同意がとれていない。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 53333

Trending Articles