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ロバート・E・ハワード『龍の刻』(創元推理文庫)

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三千年の眠りから目覚めた大神官を擁する隣国の侵略にアキロニア国は陥落した。辛くも大神官の妖術を逃れたアキロニア王コナンは逆襲の手がかりを求め、敵の命運を握る宝石を追って探索を開始するが… シリーズ唯一の長篇ですが、「この人は短篇だけ書いてるべきだった」というようなこともなく楽しく読みました。王座に就いてからのコナンの話なので、もっと若い頃の彼を主人公にした長篇も読みたくなったくらいです。 このシリーズの私にとっての魅力は、何と言っても超古代の地球であるハイボリア世界です。巻頭の登場人物一覧より、数ページめくったところにある世界地図を見ているときがわくわくしてしまってどうしようもありません。本作のコナンは戦場から牢獄、人も通わぬ荒野、にぎやかな港町に不気味な迷宮などさまざまな土地を駆け巡ります。見開き2ページの地図の中を縦横無尽に行き来するパワフルな主人公の引っ張られているだけで、もうお腹いっぱいでした。勇壮な合戦のシーンもあり、大変に男の子向け(※男性向けではない)の本だと思います。 訳者解説では原作者ロバート・E・ハワード没後の本シリーズの有為転変が詳しく語られています。これがまた、本編とは異なる方向でわくわくさせられる話なんですよ。資料編としてハワードの父の手紙も収録されていて、全集最終刊にふさわしい渋い付録になっています。 龍の刻 (新訂版コナン全集6) (創元推理文庫)

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