「タッソオ」 ゲーテ作 実吉捷郎(さねよしはやお)訳 (岩波文庫)
16世紀のイタリア最大の詩人タッソオの、破滅までを描いた戯曲です。
ゲーテの数多い戯曲のうち、最も重要な作品の一つです。
岩波文庫から1950年に第1刷が出て、2009年にまだ第5刷です。
旧字体で読みにくいですが、買うなら今のうちです。
タッソオが、アルフォンス公に詩を捧げ、公の妹から花冠を授けられました。
公女に恋心を持ったタッソオは、いっときの幸福を味わいます。
しかし、大臣のアントニオは、それを良く思いません。
アントニオの挑発によって、タッソオはとうとう広間で剣を抜き…
いくらゲーテ作だといっても、この戯曲を知っている人は少ないでしょう。
ちなみに私が「タッソオ」を知ったのは、「ドイツ文学案内」によってです。
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-02-01
筆者の手塚氏は、最初、ゲーテがあまり好きでなかったといいます。
しかし「タッソオ」によって彼の苦悩を知り、ゲーテを身近に感じたといいます。
「タッソオ」には、ゲーテ自身の苦悩が、投影されているといいます。
政治家としての挫折感、詩人としての孤独、シュタイン夫人との恋などなど。
「ウェルテル」は青年期の苦悩で、「タッソオ」は壮年期の苦悩だといいます。
そういう意味で、この作品は実に興味深いです。
ただし、正直に言うと、タッソオは少し子供じみているように思いました。
思い込みが激しくて、ふところの狭い男です。
最後は、「どうして?」と言いたくなるような結末です。
さて、16世紀に実在したタッソは、当時イタリア最大の詩人でした。
そして、実際のタッソも、最後は精神に異常をきたし、幽閉されてしまいます。
タッソの代表作は、「エルサレム解放」。
ずっと読めなかったこの作品が、現在、岩波文庫から出ているそうです。
抄訳で、完全版ではありませんが、読みやすいと評判です。(読まなければ)
さいごに。(ベルベット・イースター)
ユーミンの1stアルバムには、「ベルベット・イースター」も収録されています。
これまた、かわいい曲です。
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