外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
- 作者: 藤沢 数希
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2012/09/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
【目次】本書の内容は、外資系金融機関の内幕を暴露する内容。 筆者のキャラクターが全面に出た語り口と、大げさな人物描写。実際に務めている人からすると色々と言いたいことは有るのだろうが、外部の人から見るとすこぶる面白い。 「塀の中の懲りない面々」とか「極道放浪記〈1〉殺られてたまるか! 」の外資系金融バージョンだと思えば大体正しい。 登場人物の中身も……。まぁ、似たようなもんだろう。 筆者の語る「外資系金融機関」を一回知ってしまえば、新聞やテレビが不必要に敵愾心を煽って、悪者扱いする外資系金融機関の報道を目の当たりにしても、無駄に心を揺らさなくてすむようになる。 彼も人なり我も人なり。どんな会社だって独自文化やおかしなところの一つや二つ有るのだし、外資系金融だけが特別ってわけじゃない。そんな気持ちで、ヒートアップする報道を眺めることが出来るだろう。 本書はその他に、最近の金融業界の流れから、筆者の読む業界の将来像まで語られている。それらはわかりやすいが、当たるも八卦当たらぬも八卦の領域だ。 本書は純粋に楽しみ、そして、業界の中堅プレーヤーがどんな気持ちで居るのかを体験する。そうした楽しみ方が最適だろう。 ☆☆☆☆★(☆4つ半) 他のBlogの反応はこちら。 http://masterka.seesaa.net/article/362415984.html http://honyonderu.blog28.fc2.com/blog-entry-2623.html http://d.hatena.ne.jp/ysadaharu/20121129/1354205246 http://markethack.net/archives/51844248.html http://cozy1002.blog.fc2.com/blog-entry-563.html http://money-learn.seesaa.net/article/293271618.html 最後にちょっとだけまじめに書くと、本書を読んで強く思うのは、二つ。 一つは、解雇規制を撤廃すれば日本のサラリーマンの生活はきっと良くなるだろうということ。競争が高い給与を生んでいるのは本書でもよく分かる。首になることを恐れる人が多いのはよくわかるけど、きっと給与は上がる人のほうが多いと思う。 もう一つは、悪者にされる外資系金融機関より、霞ヶ関(とその外郭団体)の方がよっぽどワルだということ。国民の血税で本書に出てくるようなハレンチな人々にうまい汁を吸わせているのはどうしようもない。
まえがき ── 終わりのはじまり
第1章 大きすぎてつぶせない
◎ギリシャの「飛ばし」とゴールドマン・サックス
◎平均年収7000万円のふつうの人が働く大企業
◎巨額の税金で救済された外資系金融機関
◎世界最大のヘッジファンドとなったFRB など
第2章 金が天から降ってきた
◎20代で上場企業の社長並みの年収になった
◎年収3000億円
◎金融業界のハレンチな接待
◎破綻したリーマン・ブラザーズの社員が一番儲けた
◎桁が上がったマネーゲーム など
第3章 金融ほどすてきなビジネスはない
◎世界で2番目にすぐれたビジネスモデル
◎日本の銀行の簡単なお仕事
◎世界の投資銀行の楽しいお仕事
◎世界経済を人質に取る巨大金融機関 など
第4章 サル山の名前は外資系投資銀行
◎株式調査部という不思議な部署
◎キャバクラの経営をはじめたセールス部隊
◎投資銀行部門残酷物語
◎ミドルやバックは二級市民
◎異常にケチが多いトレーダーという人種
◎貧乏なセールスやバンカーほど気前がいい
◎死体処理という本当の人事部の仕事 など
第5章 ヨーロッパとアメリカの失われる10年+
◎共通通貨ユーロとAKB48マジック
◎ユーロ危機は終わらない
◎アメリカ人には仕事がない
◎日本の失われた10年と欧米の日本化
◎システミック・リスクを増大させた金融工学 など
第6章 金融コングロマリットの終焉
◎外資系投資銀行の日本化
◎社会主義化した国際金融の世界
◎株主の金をぶっ飛ばした外資系金融のプロたち
◎アメリカでは75万人のクビが飛んだ
◎新卒が試用期間中にクビを切られるわけ
◎増資インサイダー問題と投資銀行の情報隔壁 など
あとがき ──大企業から個人の時代へ