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ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪

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先日、BOOK OFF でたまたま見つけたので購入。 ちょっと前にブラック企業旋風を巻き起こしユニクロのブラック疑惑関連の記事でネットを席巻する発端となったともいえるのが本書「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」ですね。 内容は、近年の日本企業の労使関係の不均衡で発生する多種多様の問題点から、特に若者の鬱病、医療費や生活保護の増大、少子化、消費者の安全崩壊、教育・介護サービスの低下等の社会的損失が発生している実態を分析し、著者なりの解決への提案をしている体となっている。 読むとなるほど頷ける時もあるのだが、ふと考え直す、それじゃ一面的に過ぎないんじゃないかな?と思い直す事も多い読書体験だった。 本書によると、問題はユニクロ、ワタミ等のブラック企業が旧来の日本型雇用による労使関係において企業の利益になる部分(新卒一括採用での大量の労働力の獲得)だけを利用し、それに対となるべき企業の責務(雇用保障)を放棄することで企業としての業績を伸ばし、結果、若者は道具として使い捨てられ(法の網をかいくぐって解雇はせずに自主退職に追い込む)、精神を病み、本来得ることの出来るはずの失業手当の取得も出来ずに、いつの間にか生活保護に転落せざるを得ない事実だったりする。 ただ、僕が思うにブラック企業のブラックな側面は多々あり批判されるべきだとしても、ただ雇用を守るよりも逆に解雇を容易にした方が問題の解決に一歩近づけるのでないかと思う。 もちろんセーフィティネットの整備が先行して必要だが、 現在は業種間、労使間で雇用のミスマッチが甚だしいように思う。昔に比べ、仕事の種類は圧倒的に増え、それにマッチする人材なんて、雇ってみて、労働者側も仕事をしてみて初めて自分の適正や意欲が分かってくる部分がある。その時、強固な解雇規制があると企業はコストだけを持つ事になり、それはリスクだ。だから精神疾患に追い込む方法で自主退職を決断させる。それより解雇を容易にして、労働市場の流動性を高めた方が現代においては雇用のミスマッチを改善できるのではないかと思う。 解雇されても、自分で辞めても次のステージでトライできる環境があることが健全であり、効率を高める素地であるはずだと思う。 これは短い自分の社会人経験、会社人経験の中で感じていることだ。 本書では、やはり理想論(かなわない)的に読めてしまう。 本書内のマインドでは到底解決には遠いのではないだろうか。
ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

  • 作者: 今野 晴貴
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/11/19
  • メディア: 単行本

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