次には新しいカエルをまた買ってくる。そんなのはもう、たくさんだ!」王子のつぶらな目にキラッと光るものが見えた頃、ツノ男爵がやっと話しかけた。
「プミリオ王子のいうことも、もっともだのう。で『銀の手』で人間に復讐しようとしたのじゃな?」「こんな小さな身で、どうやってもデカイ人間にはかなわない。せめて『銀の手』があったら・・・」
二匹の会話を聞いていたタケルは、泣きながら言った。「まって。たしかに、みんなを大切にしなかった人間は悪い。でもそんな悪いやつばかりじゃないんだ」
「そうじゃ。タケルこそ、何度となくわしを助けてくれ、このフロッグ王国の力になろうと、ここまでがんばってくれたのじゃ」男爵も、タケルと肩を組み、王子を説得した。
一人と一匹の心がつたわったのか、王子の気持ちが少しずつ変わっていった。「わかった。これだけはタケル、お前から人間どもに伝えてほしい。この自然は人間だけのものではないと」
そう言い残すと、倒れた仲間を一匹一匹おこしながら、デンドロバテス国プミリオ王子は、『ブドウ畑』の中に消えていった。
「いっちゃったね」タケルは、なんだかにがい思いが心の中に残った。「もう、プミリオ王子もおとなしくしておるじゃろ。これも、すべてタケルの勇気のおかげだ。
出会えたことを神様に感謝せねば・・・」ツノ男爵は、両手を組み太陽にむかって頭を下げた。「ねぇ『銀の手』はいらないの?探そうよ!」 <最終章・銀の手はどこにへ つづく>
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