■ヒトコト感想
芦ノ湖に突如として浮かび上がるロシアの軍艦。御手洗潔がその謎を解く。御手洗潔シリーズとして、またもや過去の出来事の調査となる。実在の人物であるアナスタシアをテーマとした作品なので、アナスタシアについて知識がある人はさらに楽しめるだろう。芦ノ湖に登場した軍艦が、アナスタシアとどういう関係があるのか。
自分はアナスタシアについての知識はないが、単純な歴史ミステリーとして楽しむことができた。作者の旺盛な想像力で、とんでもない結末となる。ロシアと日本の関係や、時代の問題など、歴史の勉強にもなる。相変わらず御手洗潔だけが、ずば抜けた推理力を持ち合わせている。ミステリーというより、ロシアの皇帝の血を引く女性の悲劇の物語として非常にすぐれている。
■ストーリー
箱根のホテルに飾られていた一枚の古い写真。そこには、芦ノ湖に浮かぶ帝政ロシアの軍艦が写っていた。その軍艦は嵐の夜に突如として現れ、軍人たちが降りると忽然と姿を消してしまったというのだ。山間の湖にどうやって軍艦が姿を現せるというのか。御手洗と石岡は、この不可解な謎に挑むことになり…。名探偵・御手洗潔の推理によって、歴史に隠された壮大なロマンと清冽なる感動が浮かび上がる。
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