記憶をなくしたエドガーに改めてプロポーズされたリディア。嬉しく思いながらも、お腹の子のことを知られないよう神経を尖らせていた。そんな時、プリンスの組織に捕われたフランシスから助けを求める手紙が来る。文中に暗号が隠されていることに気づいたエドガーは、ニコとレイヴンを調査に向かわせた。一方、パトリックの依頼を受けてアウローラの故郷に向かったカールトンが見たものは…。 プロポーズからこっちエドガ−が落ち着いて、また口説くのにも臆面がなくなってきましたが、あれこれ凄惨な出来事の記憶もないので軽いという印象は否めません(苦笑)。ロタに対する態度は全く変わらなかったりしますが。リディアの未婚で妊娠(とエドガ−は思っている)という事実を知り、動揺して身を引きかけたのは、やはり色々と奪われたり壊されたり、そういう経験がないエドガ−だからなんだろうなぁ。表紙の黒髪の人物は誰だろうと思ったらパトリックでした。印象の薄かった彼は、リディアのお父さんをヘブリディーズ に招き、自分の知る情報を伝えます。もうひとつの鉱物について。何なのでしょう。予言者が予言によって意図していたことって結局はどういうことだったのかしら。エドガ−がお義父さん、と呼んだのが妙に嬉しかったです。 ★★☆ 「だから、きみにはなかなか僕のプロポーズを本気にしてもらえないのかなあ」 これも、真剣な口調だ。 そうね、時間がかかったわ。心の中でリディアはつぶやく。 その時間が懐かしく、少しだけもったいなかったような気もした。もっと早く彼の求婚を受け入れていれば、夫婦として過ごす時間も長くなったかもしれない。 いつからかリディアは、ケルピーに弱みを見せなくなった。気丈に微笑み、まっすぐな心で妖精たちを惹きつけるフェアリードクターになった。 このごろケルピーは、自分にとってリディアを好きだと思う気持ちは、伯爵が彼女に向ける感情とは違うのかもしれないと感じ始めている。 会いたいけれど、それよりもっと、リディアという人間の本質を知りたいと思う。妖精にはない生命の本質を、妖精界の存在にもかいま見せてくれる人間はそういない。妖精として、特別なフェアリードクターに対する興味、それは本能に近いものだ。 リディアを花嫁にしたい、独占したいという思いも、彼女の魂の、人間の女としての部分より、フェアリードクターという謎に触れたかったのかもしれない。
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