ゴルゴ13シリーズで有名な、さいとうたかお氏が書き下ろした血液型読本。長年の観察により構築した独自の血液型理論がなかなかに読み応えがある。たとえば、「アンテナ理論」と呼ばれるもの。 「A型は細かいアンテナが何本も突き出している。B型は太いアンテナを一本だけズドンと出している。O型はその場を覆い尽くすパラボナアンテナ」など、各血液型の特徴をとらえた妙のある表現がページを繰る手を止めさせない。 もちろんゴルゴ13の作者らしい、血液型を漫画のキャラクターにたとえた表現もゴルゴファンなら「なるほど!」と納得の出来栄えだ。 穀物自主取引を目指す日本人商社マン、藤堂伍一、原子力発電所の技師コモン・バリー、ビオ・グレゴリオ司教など、各キャラクターそれぞれにA型の意志の強さ、第三者の存在によって動くところ、ピンチを楽しむ、激しさを内に秘めたところなどが、A型らしさをよく表している。B型では銃器職人のデイブ・マッカートニー。どちらかといえば不器用で才能に生きる職人気質は、まさに私の知る周囲のB型気質にかなり迫っている。O型はMI6のヒューム卿。007シリーズでいえば、ボンドの上司であるMか。管理職として全体を見る目を持ち、清濁併せのむバランスの良さはO型ならではだといえよう。(ちなみに私はヒューム卿のO型だ) ほかにも、さいとうたかお氏が歩んできたこれまでの人生についてのあれこれや、作家としての経験から導き出される血液型話も興味深く、飽きが来なかった。全体を通して氏の経験則が基になっている娯楽読み物だけれども、人生の酸いも甘いも噛み分けた達人の言葉は、思いのほか重い。それは血液型というツールを通して伝えたかった、氏独自の生き方指南ともいうべきか。 文庫本のためにページ数はそれほど多くないが、ゴルゴファンならば必ず楽しめる、ゴルゴテイスト満載の中身の濃い仕上がりになっている。また原作者ならではの裏話もふんだんに入っているので、さいとう劇画ファンなら必読の面白本だといえよう。 *ゴルゴ13といえばこのお二方。どちらも「濃い」には変わりないが、高倉健には静けさを感じる。サニー千葉はむしろアクティブだ。 サニー千葉バージョン 健さんバージョン さいとうプロ公式サイト→http://www.saito-pro.co.jp/
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