久々に三崎亜記先生の本を手にしました。
まずは、最初に知ってもらった方が良いと思うので、三崎ワールドっ
てどんな感じなのかってのを説明しておきます。
三崎先生の書く小説はどれも(全冊読破したわけじゃないので「たぶ
ん、どれも・・」ですけどね)、地球に似てる星の日本に似てる同じ国が
舞台になっています。
似ているといっても、すぐお隣にあるパラレルワールドって感じでもなく
て、かなり時間をかけて時空を飛び越えないとたどりつかないような遠
いところにある世界ってことになります。
とにかく、独特の文化、歴史をもった、ちょっと不思議な空間なんです
よね。
さて、今回読んだ「コロヨシ!!」ですが、その不思議なパラレルワール
ドを舞台にしたお話という意味ではSFファンタジーにジャンル分けされ
ても良いんです。でもそれは表面的には・・・ってことになります。
ストーリー全体の印象というか、ストーリーの軸にあるのは、まさに青春
スポーツ小説ってところなんですよね。青春小説のド真ん中です。
あの「となり町戦争」「失われ町」の三崎先生が、普通の(?)高校二年
生のスポーツ男子にスポットライトを当てた小説を、しかも長編ものを書
いてるなんて、ミシェルにとっては意外でした。
「コロヨシ!!」は、三崎先生の独特の世界観はそのままなのに、数ある
青春スポーツ小説(マンガ)の名作にも引けをとらない完成度と面白さを
見せてくれましたから、ほんと驚かされました。
なぜ驚くという感想なのかというと、「三崎亜紀ってひとはこんな感じの作
家だろう」「この作家が書く物語はこんな感じだろう」というこちらの(浅はか
な)予想を楽に越えられちゃうからなんです。
新しい本(次の本)を手にするたびに、三崎先生の新たな顔を見せられて、
驚いちゃいますね。
もちろんその評価には、「三崎亜紀ワールドはミシェル好み」というヒイキめ
の気持ちが含まれてはいますけどね。
(なお三崎先生の、ちょっと小難しい、もってまわった言い回しは、評価が
分かれるところかも・・ってのは正直に伝えておきますデス)
さてさて、では「コロヨシ!!」では一体なんのスポーツにスポットを当て
ているかという話をようやくさせてもらいますが、なんとなんと、それは「掃
除」なんです (掃除という名称のスポーツなんです)。
「掃除」をスポーツにしちゃうという想像力、そして「掃除」の競技ルールと
「掃除」の裏側にある謎(先の戦争や西方の国の歴史との関係性が絡ん
だ謎)を緻密に設定してクッキリと輪郭を浮かび上がらせる筆力には、何
度も申しますが、ほんと脱帽です。
世のスポーツものの名作のエッセンスをうまく取り込んで、魅力的なくせの
あるキャラクターをたくさん登場させてる点も、グッドポイントですね。
なおかなり中途半端になりますけど、今回のブログ記事では「掃除がスポ
ーツってどういうこと?」という疑問には答えません。
なぜなら逃げるようでアレなんですが、ミシェルがこの場で短いセンテンス
で「掃除」を説明しちゃうと、「なんかバカバカしい話だね」って思うひとが
出てきそうって思うからなんです。
「掃除」という競技の魅力は、三崎先生しか説明できない・・・みたいな(笑)。
「コロヨシ!!」に興味を持たれた方、あるいは「“こんなのはじめて”感がい
っぱいの物語を読んで右脳を活性化させたい」って方は、ぜひ、「コロヨシ
!!」を手にしていただければなぁと。
(ちなみに、「掃除」の競技が開始されるとき、競技者は「頃良し!」と
いう掛け声をします。だからタイトルが「コロヨシ!!」なんですね)
おわり
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