7.5点
主人公は著者である、実話怪談風の長編。
実話怪談風短篇集「鬼談百景」(リンク先感想)と少しだけどリンクしてます。
著者に届いた久保という読者からの一通の手紙。
それは、「最近越した部屋に何かがいるような気がする」という内容だった。
「誰も居ない和室から音がする・・・」そんな内容の返信に、合理的な見解を送った著者。
しかし、その後、その現象は別の内容に変わっていく。
以前「怖い話」の提供を「あとがき」で読者にお願いした著者の元には、
読者からいくつもの「怖い話」に関する手紙が来ていた。
著者は、久保の話と同じような内容の手紙が来ていたと思い当たり探してみると、
その現象を報告してくれた人の住所は、久保と同じマンションであった・・。
しかし、部屋の番号は違う。
調べてみると、そのマンションや、マンション周辺に、人が居着かない、
短期間に出てしまう部屋や家があることがわかる。
職業がライターである久保と、著者は、怪異と地域の関係について調べ始める。
転居した人の中には自殺した人、犯罪を犯した人、そのまま暮らしている人・・・など様々。
怪異は拡大している??
怪異の原因を探す為、土地の歴史、過去に住んでいた人、起きた怪異などを調べる内に、
恐ろしい事実が浮かび上がってくる・・・・。
実話怪談で有名な平山夢明氏が登場したりと、かなり凝った作り。
雰囲気作りも巧く、「鬼談百景」でも感じたけど、実際友人から体験話を聞いたような怖さがある。
ただ、著者の考えとしての「怪異に対する合理的見解」が頻繁に、それもかなり長いフレーズで
登場するため、その部分でちょっと怖い気持ちが削がれてしまったり、
リアル感を出す為か、ラストが、あまり盛り上がらないのが残念。
でも、普通は理由も、原因もわからずブチっと切れてしまう事が多い実話怪談を、
謎解きしていく過程、そして徐々に情報が増えていく展開は、ミステリー・サスペンスの味もあり、
おもしろく読めた♪
怪談物が好きな人に(^-^)ノ。
「鬼談百景」に登場する怪談の中には、この話にリンクしているものがいくつかあるのと、
同じ「実話怪談系」なので、読むなら続けて読んだ方が、雰囲気にどっぷりつかれて面白いとは思う。
リンクしてる部分は、ほーんのちょっとなので、無理に読む必要も無いと思うけど。
「残穢」のラストが若干盛り下がるので、読むなら、「残穢」の前の方がいいかな(゚_。)?
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