SD選書 鏡[虚構の空間]──由水常雄
発行所 鹿島出版会 昭和五十三年十一月:発行
鏡にはふしぎな特性がある。三次元の空間を二次元の平面の中に押し込んだり、単なる物理的な反射板にすぎないのに、人のこころに執着をおこさせたり、反発させたり、さいなんだりする精神的な作用もひきおこす。
かつてプラトンは、芸術家があらゆる現象を改変して美しい創造物を生みだしてゆく作業を,鏡にたとえた。・・・・・〈同書の まえがき からの書き出し部分引用〉
鏡の起源
鏡は、人の顔を映す道具として、水鏡にはじまり、水がなくても顔を映すことができる金属鏡へと発達し、さらに金属の表面が映らなくなってしまうというという不便をなくしたガラスの鏡が考え出された。そして、今日でもまだ、ガラス鏡は、その機能を失っていない。・・・・・ (同書より引用)
(右)古代エジプトの青銅鏡(柄付手鏡)紀元前16世紀頃。
/(左)イギリス鉄器時代・青銅鏡(ケルト手鏡)背面模様。紀元1世紀初期頃(大英博物館所蔵)
ガラス鏡のはじまり
ガラス鏡の発明について記録した史料は、今日知られている限りでは,プリニウス(AD23/4〜79)の著わした『博物誌』一書しかない。彼はローマの博物学者として、広く地中海域を跋渉(ばっしょう)して、実地に各地の風物を見て記録にとどめ、多くの著作を参考にして世界最初の百科事典ともいうべき、37巻、約20,000項目に及ぶぼうだいな『博物誌』を著わした人物である。・・・・・(同書より引用)
(右)フランス中世の化粧鏡。14世紀頃(ルーヴル美術館所蔵)
/(左)フランス中世の手鏡。15世紀頃(クリュニー美術館所蔵)
ヴェネチアの鏡
ヴェネチアの鏡 (左)立鏡。16世紀頃(オランジェリー美術館所蔵)
/(右)市から結婚記念に贈られたマリア・ド・メディッチの鏡。16世紀頃
ガラス鏡の展開
(左)イギリスの大型鏡台。19世紀(ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館所蔵)
/(右)フランスの象嵌化粧テーブル(ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館所蔵)
建築と鏡
(左)東大寺三月堂の鏡天井/(右)ヴェルサイユ宮殿鏡の回廊
建築と鏡
(左) クェレス王宮王妃の居間
/(右上) クェレス王宮大使の間 (右下) クェレス王宮王座の間
/(右上)『仮装舞踏会の支度』ペックマン作。(下)『化粧する女』ピカソ作


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