「初秋」 ロバート・B・パーカー作 菊池光訳 (ハヤカワ文庫) 私立探偵のスペンサーが、15歳の少年を、一人前の男に鍛える物語です。 スペンサーシリーズの最高傑作と言われています。 現在、ハヤカワ文庫から出ています。テンポの良い訳で、読みやすいです。 私の書棚にあるのは、2007年版で、しぶいおやじの限定カバーです。
15歳の少年を元夫から取り戻してほしい、という依頼がありました。 スペンサーは、あっけなく任務を遂行し、少年を母親に渡しました。 少年の名前はポール。無気力で、何も自分で決断できないような子です。 両親のどちらと一緒に暮らしたいかと聞いても、答えは「どっちだっていい」。 それも無理はありません。 憎しみ合う両親が、相手への嫌がらせのために、彼を取り合っているのです。 ポールは今まで、愛情を味わったことがなく、心を固く閉ざしているのでした。 スペンサーはこれ以後、ポールと個人的に関わっていきます。 彼に、自立することを教え、大人になることを教え、人生を教えて… 探偵小説ですが、物語の中心は、スペンサーによる少年の感化です。 ルソーの「エミール」以上の、教育小説かもしれません。 スペンサーが少年に与えるアドバイスの、一言一言がとても良いです。 父親の理想像が、ここにあります。 スペンサーとホークのコンビは、相変わらず最高です。 二人ともめちゃくちゃカッコイイ。特に31章! 「初秋」は、ハードボイルドの傑作でしょう。 続編の「晩秋」という作品もあります。(未読) ほかにカッコイイ小説といったら、私は迷わず「深夜プラス1」を挙げます。深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1))
- 作者: ギャビン・ライアル
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04
- メディア: 文庫