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ペーター・R・ヴィーニンガー『「ケルズの書」のもとに』(水声社)

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9世紀のヨーロッパ、スコットランド・イオナ島の修道院をヴァイキングの一団が襲撃する。密かに作成されていた美しき写本は5人の修道士によって持ち出され、数百年を経てアイルランドはダブリンへと渡る。時は流れて1992年のウィーン。経済省に勤務するシュタインヴェントナーは、ある事件から偶然入手したロッカーの鍵に導かれて驚くべき秘宝を目の当たりにするのだが… ヴァイキングと修道院はともかく、20世紀ウィーンの公務員のどこが『ケルズの書』なのかとお思いでしょうが、これがちゃんとつながるんです。シュタインヴェントナーが手に入れてしまった鍵が隠しているものとそれを探す謎の男たちの正体、1100年前の修道士たちが持ち出した写本の秘密、それぞれが少しずつ明らかになる過程が何ともじれったくてわくわくさせられます。 9世紀から始まる過去の物語で中心人物となるキリスト教徒と異教徒たちのせめぎ合いと言い、いきなり事件の渦中に投げ込まれながらも逃げ出すどころか謎の解明に乗り出す現代ウィーン編の主人公シュタインヴェントナーと言い、聖なるものに群がる人々の強烈な行動力が印象的です。冒頭で修道院の人々を虐殺するヴァイキングの首領と、異端者を袋詰めにして川に投げ込むキリスト教徒と、ひき逃げを隠蔽して堂々と出勤するシュタインヴェントナー、野蛮なのはどいつだという話ですね。 『ケルズの書』のもとに (現代ウィーン・ミステリー・シリーズ)


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