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ザッカリー・メイスン『オデュッセイアの失われた書』(白水社)

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ゴミ捨て場跡から発掘されたパピルスに残されていた、ホメロスの『オデュッセイア』にまつわる44通りの短いバリエーションの翻訳、というスタイルの掌篇集です。この設定でピンと来た人にはもうそれだけでおすすめできます。 原典に基づいた別の視点からの解釈あり、オリジナルには全く含まれていないエピソードあり、明らかに後世になってから加筆されたテキストありで、特にストーリー順になっているわけではありません。あくまでも「発掘されたパピルスからの翻訳」スタイルを貫くべく、ところどころに著者自身による嘘八百の注釈が入っているところも注目ですよ。 ザッカリー・メイスンという人はこれが初めての小説だそうですけれども、帯に引用されているボルヘスやカルヴィーノを思わせるヘンな芸風で、今後の作品に大いに期待をかけたくなる作家さんです。訳者あとがきによるとシリコンバレー育ちで人工知能を専門にしている方だというんですから、ますますこれからが楽しみになってきましたよ。 オデュッセイアの失われた書


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