評価:★★
並木直俊は、仁美・麻理江・幸の3人の女を殺すことを決意する。
じっくりと完全な計画を練り、嫌疑の外へ逃れられるようにして。
しかしある晩、彼の元へ愛人のあかねが訪れたことから事態は急変する。
並木はその夜のうちに3人とも殺さなければならない羽目になったのだ。
タイトル通り、これは3つの殺人を実行するために夜を疾走する男の物語。
まず、並木の動機が明かされない。
なぜ、20歳前後の美女を3人も殺さなければならないのか。
読者はまず、読みながらその動機を考えることになるだろう。
作者はこれまでの作品でも "特殊な条件下" でのミステリや
"SF的設定" を持ち込んだ作品を書いてきたので、
読む人によっては、いろんな理由が思いつくだろう。
私もああだこうだと考えあぐねて、しまいには
"超ホラー伝奇SF" 的な妄想まで頭に浮かんでしまったよ。
物語の進行とともに徐々に明らかになる動機が、
どんなものだったかはネタバレにもなるので書かないけど
それが殺人にまで結びつくようなものなのかは、
(冷静に考えれば)正直言って疑問を感じないわけではない。
でも、冒頭でのあかねとの "予想外のある事件" から始まる導入部が
よくできていて、あまり不自然さを感じさせずに
作品世界へ入っていくことができた。
並木が殺人の実行を決心してからは、物語が一気呵成に進んでいく。
普通のミステリではないし、殺人者の側から描いているといっても、
倒叙ものとも言い切れない、ある意味分類がムズカシイ小説。
作者お得意の、殺人を巡るロジックの展開は
全編に炸裂しているんだけど、
話が話なので、素直に "楽しむ" というわけにはいかない。
好き嫌いが分かれる作品かと思う。
この手の作品が、たまらなく好きな人もいるだろう。
でも、残念ながら私のストライクゾーンからは外れてるなあ。





