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『宇宙になぜ我々が存在するのか』

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『宇宙になぜ我々が存在するのか』 村山斉(ひとし) 2013/01 宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)  著者は東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構初代機構長。UCB物理教室教授。 最新素粒子論を紹介する本。  宇宙を構成するエネルギーのうち、物質は5%。残りは暗黒物質と暗黒エネルギー、つまり正体不明だ。粒子の数としてはニュートリノが最も多い。  パウリはベータ線(電子)が出た後にエネルギーが減少していることから、未知の粒子(ニュートリノ)があると仮説を立てた。同時にこの粒子が実験で捕まらないことにシャンパン1ケースを賭けた。しかしパウリが存命中(1954)にニュートリノが実験で確認され、パウリはシャンパン1ケース分の小切手を送ったという。  標準理論ではクォークが2種類x3世代、レプトンが2種類x3世代、力を伝えるボソンが4種類、そしてヒッグス粒子と割と美しくまとまっている(いた)。  超新星爆発のときに出るエネルギーの99%はニュートリノ。1998年に日本のグループ(小柴博士ら)がニュートリノに重さがあると報告した。これにより何十年も正しいとされてきた標準理論がついに倒れたとされた。このニュースはNYタイムズの1面トップを飾り、米大統領クリントンがスピーチに引用するほどだった。  観測によりミューニュートリノとタウニュートリノが入れ替わるニュートリノ振動が判った。つまり観測する時間で変化するということは、ニュートリノが光速で動いていないことを示し、重さがあるということになる。特殊相対性理論によって、光速で動くと時間が停止して変化が起こらないのである。  2012年7月ヒッグス粒子の発見が発表された。ヒッグス博士はこの粒子を1964年に予言していた。博士の論文は競合する研究者より2ヶ月遅れていたが、「新しい粒子があるはずだ」という文言を書いた論文はヒッグス博士が最初だった。この1行を入れるようアドバイスしたレフリー(論文査読者)が南部陽一郎だった。  現在、粒子(クォーク、レプトン)には反粒子(反物質)があると分かっている。そして3つのカラー荷、2つのスピン方向と、とても「素」粒子とは呼べない数になっている。著者は何か統一的に表現できる方法があるのではないかと考えている。

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