$ 0 0 初めて読んだ。意外に思ったのは読み易く、かつ滑らかに読み終えたことだ。その小説は自伝的な内容のものが大多数で、著者が自虐的に書く内容とは後の解説に書かれているとおりかなり違っていたらしい。金がないないと言いつつ結構遊んでいる。 「オモチャ箱」に書かれている主人公の三枝庄吉は、この著者と同じ現実をみる冷徹な目と夢を持ちながらそれを生かせず自殺した。しかし、著者は最後まで自分の生活を厳しい目で見つめ続け、それを私も読者も最後まで読み終えるようにもって云った。 この小説集で最も面白かったのは、「勉強記」である。クスクス笑いを禁じえなかった。