滅多にあることではないのだが、時々、道を歩いていたらすれ違いざまに二度見されることがある。 二度見というのは面白い心理の動きで、最初は何気なく目に入ったものが即座に頭の中で演算され、その結果いまのはなんだ? という疑問が生じて再確認しようとするのだ。だから一呼吸遅れてもう一度見ようとする。それが二度見というやつだ。 なぜ私が二度見されなければならないかという理由は薄々わかっている。 私にはちょっとした肉体的な特長があるのだ。だが、この肉体的違いを気に留める人はほとんどいない。 しかし稀に非常に敏感な察知能力によって気がついて二度見する人もいるのだ。 それでも、この世界には実に様々な個性と外見を持った人間が多様に存在しているおかげで、二度見されたとしても騒ぎにまで発展したことはまだ一度もないから助かっている。 まあ、多様に見える姿をした人間は、概ね私の仲間なんだけどね。 通り過ぎた人をやり過ごした私は、いささかの緊張がほぐれた時の癖で、額の触覚同士とと脇腹から突き出た二対目の両腕を同時にこすりあわせるのだった。 了





