島薗進/著
出版社名 : 岩波書店(岩波新書 新赤版 1259)
出版年月 : 2010年7月
ISBNコード : 978-4-00-431259-8
税込価格 : 840円
頁数・縦 : 237p・18cm
明治維新以後の国家神道の成立とその普及の跡をたどり、国家神道と日本人の関わりを探る。
【目次】
第1章 国家神道はどのような位置にあったのか?―宗教地形
「公」と「私」の二重構造
「日本型政教分離」の実態
皇室祭祀と「祭政一致」体制の創出
宗教史から見た帝国憲法と教育勅語
信教の自由、思想・良心の自由の限界
第2章 国家神道はどのように捉えられてきたか?―用語法
国家神道の構成要素
戦時中をモデルとする国家神道論
神道指令が国家神道と捉えたもの
皇室祭祀を排除した国家神道論を超えて
第3章 国家神道はどのように生み出されたか?―幕末維新期
皇室祭祀と神社神道の一体性
新たな総合理念としての皇道論
維新前後の国学の新潮流
皇道論から教育勅語へ
第4章 国家神道はどのように広められたか?―教育勅語以後
国家神道の歴史像
天皇・皇室崇敬の国民への浸透
国家神道の言説をつけていくシステム
下からの国家神道
第5章 国家神道は解体したのか?―戦後
「国家神道の解体」の実態
神社本庁の天皇崇敬
地域社会の神社と国民
見えにくい国家神道
【著者】
島薗 進 (シマゾノ ススム)
1948年東京都に生まれる。現在、東京大学大学院人文社会系研究科、文学部宗教学科教授。専攻は近代日本宗教史、宗教理論研究。
【抜書】
●皇室祭祀(p24)
天皇が親祭する13の皇室祭祀のうち、古代以来のものは二つのみ。他は、明治維新後、新たに定められた。「万世一系」を演出するため。
新嘗祭……唯一、古代以来の親祭祭祀。毎年の稲の新穀を天神地祇に供え、ともに食す。
神嘗祭……伊勢神宮の最も重要な祭祀。新たに宮中でも行うようになった。
元始祭……1月3日、天孫降臨、すなわち天津日嗣(皇位)の始原を祝う。
紀元節祭……神武天皇の即位を祝う。
神武天皇祭……以下、歴代天皇の祭祀。
春季皇霊祭
秋季皇霊祭
春季神殿祭
秋季神殿祭
先帝祭
など
●皇祖皇宗(p35)
皇祖……天照大神あるいは神武天皇
皇宗(こうそう)……それ以後の歴代の天皇
皇考……先代の天皇
●国家神道の三つの要素(p93)
村上重良による、国家神道の三つの要素。
神社神道
皇室神道
国体の教義
〔国家神道は、集団の祭祀としての伝統をうけついできた神社神道を、皇室神道と結びつけ、皇室神道によって再編成し統一することによって成立した。民族宗教の集団的性格は、国家的規模に拡大され、国民にたいしては、国家の指導理念である国体の教義への無条件の忠誠が要求された。国家神道の教義は、そのまま国民精神であるとされた。(村上『国家神道』p.223)〕
島薗の見解。〔「国体の教義」と「皇室祭祀」や「神社神道」を結びつけたのは、教育勅語や祝祭日システムやメディアだった。〕
●伊勢神宮と仏教寺院(p100)
明治維新によって、天皇家の祖神を祀る伊勢神宮は、国家神道の中心施設として生まれ変わる。国家の管理下に入り、皇室祭祀と一体の荘厳な国家神道の聖所へと変貌。
地元の宇治山田地域には300以上の仏教寺院があったが、維新後には15に減少。御師(おし、おんし)が廃止される。【御師】民間宗教家。全国の崇敬者と師檀関係、各地を回って神札(伊勢大麻・神宮大麻)を配っていた。参拝者は御師の営む坊に宿泊。
五十鈴川の内側の神域にあった多数の民家を撤去。
●国柱会(p168)
田中智学……日蓮宗徒だった医者、多田玄竜の三男として江戸に生まれる。
10歳で出家。生ぬるい宗門の体質に失望、還俗して在家として日蓮宗を広める運動に取り組む。
1884年、立正安国会を結成、浅草や日本橋に本拠を設ける。当初は、日蓮宗を変革して日本と世界を救うことが目的だった。
しだいに、国家神道に近づく。〈天皇はその存在そのものが仏教的真理を具現しており、世界を統一すべき神聖な国体こそ日蓮仏教の目指す最高の理想である〉。
信者に、宮沢賢治、石原莞爾。
(2014/1/29)KG
〈この本の詳細〉
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