『解雇最前線』 鈴木剛 2012/12 著者は東京管理職ユニオン書記長。 最近の解雇やPIPの実態についての本。 雇用者の10人に1人が余剰人員だという。 PIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン=業績改善計画)が解雇の手法として使われている。PDPと呼ばれることもある。成績不振とみなされた従業員に課題を与えて能力を向上させるという制度。 PIPで達成困難なノルマを与え、できなければ退職を強要するするという使われ方をしている。 本人の意思を無視した退職強要は民法709条の不法行為にあたる。合理的な理由のない解雇は、労働契約法の解雇権の濫用となり無効。 PIPは社内用語だと思っている人が多いが、実際は解雇手法として広く行われている。 実例では、配置転換などで従来と違う仕事に就かせPIPを課すという場合が多い。目標が達成できなければ賃下げか退職を迫られる。「過小な仕事を与える」というケースもある。PIPの達成目標では高度な内容が書いてあり、単純・簡単な仕事を続けても目標達成ができない。単純作業でプライドも傷つけられる。 100件を超える特許取得者も流通センターで梱包作業をさせられたという例もある。 PIPを別のキャリアコンサルタント会社などに任せる例もある。会社内の産業医が心身が不調になった従業員に適切な対応を取らず、会社から追い出すことに加担する場合があるという。 著者は、底流に自助・競争の深化、新自由主義的政策があると述べる。 それよりも成長拡大を前提とした労働法や賃金体系、転職や独立には未来が展望できないという社会に問題があると思いますが。
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