ツノ男爵に説明すると、タケルはプミリオ王子の方へ、スタスタと歩いて行った。「あぶない、タケル!もどってきなさい!」 タケルには、もう男爵の声は聞こえていない。人間の子供それともう一匹に仲間をたおされて、肩を落としている王子に、タケルは話かけようと近づいた。 その時、一匹のカエルが、矢をにぎりしめながら、タケルめざし突進してきた。『もうダメだ!』タケルは、あきらめかけ目をギュッとつむった。 「やめなさい!」プミリオ王子の止める声がする。「もういい。われらの負けだ。好きにするがいい」王子は、降参するかのように手を上げていた。 「違うよ!僕は何もしないよ。プミリオ王子に聞きたいことがあるんだ。どうしてそんなに人間のことがキライなの?僕のお母さんは、カエルが大好きなんだ」 「置物やぬいぐるみをたくさん集めているし、寝る前とかは、図かんをニタッて楽しそうに見るの。そういう人間だっているんだよ」タケルは、倒れているカエルを心配そうに見ながら言った。 「そうかな?人間なんて自分達の勝手で、めずらしいカエル達をせまいガラス箱にとじこめは、ながめて楽しんでいるだけ。まったくカエルの気持ちなんて関係ないのさ。 えさをやり忘れたり、箱の中を掃除しなかったりして、かわいそうに死んでいくカエルがどのくらいいると思う?いざ死んだらピンセットでつまんで、生ゴミにポイッ…だ」 <つづく>
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