『新しい市場のつくりかた』 三宅秀道 2012/10
著者は東海大学政治経済学部専任講師。 製品開発論についての本。
今の企業組織は開発とマーケティングに壁があって、商品が的を外しているのではないか。口では統合を標榜しつつも、単なる技術論と印象論に陥って言葉もうまく通じない。
三菱重工のある部門が超高性能のジャイロを作ったが使い道が見つからなかった。結局イタリアのクルーザー・メーカーの横揺れ防止に採用した。超豪華クルーザーが停泊中のパーティでワインがこぼれないようにするのが目的だった。今回は偶然にも顧客が見つかったが、開発を続けてコストが成果に見合わなくなる例だという。
ミシュランはタイヤを売るためにレストランのガイドブックを作り新しいライフスタイルを提案した。これが文化開発。文化開発のコストが技術開発より有利ならば、そちらを選ぶべき。そこに新しい市場がある。
どんな工業製品も、いつかは過剰品質・過剰供給となる。裏返すと、安く値崩れしたものを買い叩いて、ふんだんに利用して価値ある商品を開発する方が有利になったといえる。
市場創造には、問題開発、技術開発、環境開発、認知開発、という4フェーズがある。多くの組織では「別の部署がやること」と割り振られており、先に進めない。
新しい問題を発明(発見)しようという人が向き合うべきは、認識する前から「すでにそこにある」対象ではなく、今はみなが当たり前と思っているが、もっと良くしたい、実現したいという妄想の世界。
小中学校でプールの水泳帽が普及しているのは日本だけ。プールでの児童の把握や指導が容易になることを、水泳帽メーカーの磯辺商店がカリキュラムにして全国に広めた。同社が開発したのは水泳帽というモノではなく、新しいプールライフだった。
組織はまだ名前がついていない現象、「未名」の対象について扱うことがきわめて不得手。実はそれこそが貴重なのである。
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『新しい市場のつくりかた』
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