<裏表紙あらすじ> メジャーを代表する東洋系スラッガー、“ジャスティン・キング”。大都市球団へのトレードを拒み続ける彼の正体を探る者たちが姿を消す。最後に日本の新聞記者が辿り着いた驚愕の真実とは。パワフルかつ緊迫の展開でラストへと一気に導く新時代野球ミステリの傑作。第一回「サムライジャパン野球文学賞」大賞受賞作。 おもしろく読みました。 確かに、おもしろく読んだのですが、「ああ、おもしろかった」と素直に言えない、残念なところが散見されます。 なにより、中心人物であるジャスティン・キングの正体をめぐる謎が、あまりに平凡というか、物語の最初の方で示唆される通りというのが、あっけない。ミステリとしては致命的な部分だと思います。 そして、ジャスティン・キングの現状とその正体を比較すると、どうも無理があるような気が素人的にしてなりません。いくらなんでも、これはないんじゃないでしょうか。これ、野球に詳しい人から見れば十分ありうる話として納得感が高いものなのでしょうか? 帯の裏表紙側にはずらりと野球選手の感想も並んではいますが... また、正体を探る者が姿を消す、なんて、こんなあからさまなことをしたら、秘密がありますよ、と声高に叫んでいるようなもので、感心しません。 この作品、第16回松本清張賞の候補作だったそうですが、受賞は逃しています。この辺のミステリとしての弱さが受賞しなかった原因なのかも、とか考えたりもしました。 でもね、おもしろいんです。 日本の野球、メジャーリーグの様子、スポートエージェントの活躍ぶりなか興味津々。 また、ジャスティン・キングの性格というか行動ぶりというか、がやはり印象的なのは大きな長所だと思います。 というわけで、ミステリとしては不満がありますが、野球小説(あるいは、野球選手小説)として楽しみました。
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