評価:★★★
O・ヘンリーの短編と同名だけど、直接の関係は無い。
女の子3人を含む、会社の同僚たちとホームパーティを開いたが、
みんなが帰った後にはサンダルが一足消え、代わりに女物の靴が一足残っていた。
しかし、女の子3人の誰からも「私が間違えました」という申し出がない。
なぜだろう? (「ガラスの靴」)
フィルムカメラを売り払い、デジタルカメラに切り替えた。
そしたら、妻からバレンタインデーのプレゼントとして
フィルムを1ダースも贈られた。なぜだろう? (「賢者の贈り物」:表題作)
・・・のように、日常の中で起こった不思議な出来事と、
その裏に潜む意外な真相が綴られる。
一編が文庫で30ページほどの中に、不思議な出来事と
それに対する多様な解釈、そして最終的な解決と、密度の濃い作品になってる。
(このへんは、この作者お得意のパターンでもある。)
そんな「日常の謎」系ミステリ短編が10作収録されている。
連作短編ではないので、各編の間に直接のつながりはない。
登場人物も基本的に毎回異なっている。
ただ、どの作品にも共通して登場するのが「磯風さん」という女性。
ほとんどは脇役なんだけど(彼女が当事者のものもあるが)。
表紙のイラストにある女性が、たぶん彼女。
ところがこの人、作品ごとに年齢も職業も境遇もまちまち。
高校生だったり(「可食性手紙」)、大学生だったり(「最後のひと目盛り」)、
OLだったり(これが一番多くて6編)、シングルマザーだったり(「玉手箱」)。
こう書くと、一人の女性の半生みたいだが、
読んでみると性格もかなり違うみたいである。
無理矢理に一人と考えられなくも無いが、私の読んだ感じでは
最低でも2~3人の磯風さんがいそうである。
私の気に入ったのは、次の二編。
高校生のヒロインが、すり替えられたカンニングペーパーについて
あれこれ推理を巡らす「可食性手紙」。
物語の舞台が、期末テストの真っ最中という
タイムリミット・サスペンス(!)なのが笑える。
失恋してやけ食いし、激太りしていくヒロインの大学生。
ある日、同級生の磯風さんに飲み会に招かれたが、
裏に何か隠された目的がありそうで、
それについてあれこれ思いを巡らす「最後のひと目盛り」。
この作者の他の短編集でも思ったけど、
恋愛がらみの「日常の謎」ミステリを書かせたら、絶品だね。






