ある朝、会社に出社すると机に張り紙がありました。 張り紙: 「あなたは昨日、キャビネットの鍵をかけないで帰宅しましたね。 セキュリティ違反です。罰として、改善策を自分で考えて報告すること」 改善策なんて考えられるくらいなら、鍵のかけ忘れなんかするかい! 人間なんだから、忘れることもあるでしょ、 そんなに失って困るデータがあるのなら、 キーフリーで鍵が閉まるキャビネットを導入すりゃいいじゃん。 と怒りにまかせてここまで思って、ふと気付きました。 そういえば私、鍵の仕組みってあまり真剣に考えたことがありません。 前に通勤で使っていた自転車も、付属の鍵の他にチェーンも巻いたのに あっさり盗まれましたっけ。鍵も万能ではないのです。 でも会社は「鍵をかけろ」とうるさく言います。 鍵のかけ忘れを自分で防止する方向に、鍵って改良とかできるのかしら。 できればキーフリーにしてしまえるのなら、それが一番いい。 こんな素朴な(?)興味を持って買ってみた本がこれです。 この本の著者は「鍵と錠の研究会」を名乗っていらっしゃいます。 こんな研究会、あるんですね。 このマニュアルは、泥棒のために書かれたわけではなく 一般人が鍵の仕組みを理解して、 道具として最善の使い方が出来るようになることを目的として書かれているようです。 たくさんの鍵の種類と、その開け方が、図解入りで分かりやすくかかれています。 私はたまたま一般人でしたが、この本を手にとる人って圧倒的に 一般人ではない気がするんですが・・・気のせいかしら。 出版された目的のとおりに本書を活用している人って、 購入者の何パーセントくらいなのか興味があります。 読んでみると、鍵の仕組みが良くわかるのはもちろんですが 書いた人はこの本を書くのが相当楽しかったと見えて、シニカルな文体がかなり笑えます。 通勤中に読みましたが、途中で噴出しそうになるのをこらえること数回。 「ピッキングツールを買うときは、力量や目的を考えて選びましょう。 これから仕事にするのだ!(笑)という人が後戻りしないように、と思うなら 高価な道具を買うのもいいかも」とか 「ピックを自作するときは、材料に注意」とか 「セサミロックを開けるのに 5 時間もダイヤルを回し続けるのは 精神的にも体力的にも辛いので、やめよう」とか 一般人そんなことせえへんわ!と突っ込みたくなる文章がたくさん並んでいます。 興味本位でこの本を読む人が、わざわざ身分証明書を持って高価なピックを買いに行くとか ・・・ないでしょ。 残念ながら、会社のキャビネットにキーフリーシステムを導入する方法は分かりませんでしたが 読んでいてとても楽しく、為になる本でした。 ノウハウを知ったなら、一度鍵を開けてみたいと思いましたが そのための道具が結構高価なので、あきらめました。 一般人、こんなものです。
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