初めて読む作家さんです。単行本が2006年、文庫が2009年。存在もしりませんでしたが、とあるブロガーさんが紹介されていて面白そうだったので図書館で借りてみました。
- 作者: 山本 甲士
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/12/04
- メディア: 文庫
どこにでもありそうな地方都市の理髪店。そこで髪を切った人たちが、新しい髪型がきっかけで変わっていくお話です。6編です。
上司からも後輩からもなめられて、おどおどと日々を過ごしていた30歳の沙紀は気分転換に髪を切ることに。いつもの美容院へ行きたくなくて、気になっていた理髪店に行ってみることに。産毛なんかも剃ってもらったら気分もすっきりするかも・・・と思っていたら。
洗髪中にうとうとして目覚めると鏡に映る、自分とは思えない姿。髪も短くカットされ、激しい形の眉にカットさてていてショック。自分だけど自分じゃないような自分の姿に打ちのめされるものの、「このみかけにふさわしい自分」を演じてみることにした沙紀は職場で思わぬ行動を起こす・・・というのが最初のお話し。
こんな調子で登場人物たちは次々と、ふらりとこの理髪店に入ってマッサージや洗髪中にうとうとしているうちに、思いがけない髪型にされていきます。
じゃあこの理髪師は何者? それはまったく不明。重要な役回りのはずなのに、主人公達を変身させるだけ。まるで魔法使いのような存在です。なんというか、おとぎ話の魔女?
さらりと読めて、かつ、人の見た目って深いよなぁ〜としみじみ考えさせられました。
沙紀が、この外見にあわせて自分を演じてみればいいんだ!と気がつくところ。確かに、服装や髪型、メイクは行動に影響を与えますよね。う〜む、毎日だらけた格好ばかりしてちゃだめだわぁと反省しました。