「フェッセンデンの宇宙」 E・ハミルトン作 中村融訳 (河出文庫) 人工宇宙モノの傑作であるタイトル作など、全12編収録のSF短編集です。 わが国に多大な影響を及ぼした、1930年代の作品を中心に選出しています。 2012年に河出文庫から出ました。訳は2004年で、分かりやすかったです。 タイトル作については、異なる二つのバージョンが収められています。
タイトルの「フェッセンデンの宇宙」は、SFファン必読の古典的名作です。 1961年に改変版が日本に紹介されると、とても大きな反響がありました。 「実験室のなかに宇宙を創ったんだ。何百万もの太陽、何千万もの世界を そなえた宇宙を」・・・ブラッドリーは、その宇宙を見せられますが・・・ フェッセンデンは、その小さな宇宙を、いかにして創り上げたのか? フェッセンデンは、その小さな宇宙で、いかなる実験をしたのか? わずか25ページほどですが、鮮烈な印象を残す作品です。 「あの天上にもフェッセンデンがいるのではないだろうか?」(P34) 「帰ってきた男」は、ちょっと皮肉の効いた生き返り譚です。 1週間ぶりに目を覚まし、棺から出てきた、ある男の物語です。 自分が生き返ったことを、皆が喜んでくれると思いきや・・・ この世に「帰ってきた」男が、最後に「帰ってきた」場所は・・・ 「太陽の炎」は、私がもっとも気になった作品です。 ミステリー的な展開と、哲学的な味付けで、深く印象に残る作品です。 探査局の古株で、突然辞表を出したケラードには、いったい何があったのか? 彼らが水星の昼側で遭遇したものとは・・・ 「しかし、広大無辺の宇宙が、どうして中身のつまった、重い肉体をまとった 生きもののものになるだろう? 空気の泡につつまれて苦労して動かなければ ならず、金属の墓におさまってちっぽけな惑星のあいだをのろのろと進み、巨 大な太陽の輝きには近づくこともできない生きもののものに。」(P293) この述懐の中に、作者ハミルトンの思いが込められているような気がしました。 我々が本当に宇宙を探索できるのだろうか? ただの土くれである我々に? ほか、「向こうはどんなところだい?」「夢見る者の世界」「翼を持つ男」 「追放者」「世界の外のはたごや」などは、捨てがたい作品です。 さて、エドモンド・ハミルトンといったら、キャプテン・フューチャーです。 40年ほど前、私が小学校の時に、そのアニメがNHKで放送されていました。 中学生になって、ハヤカワ文庫から出ていたシリーズを、夢中で読みました。 そして、2004年に創元SF文庫から出た全集を、懐かし思いで読み返しました。 しかし、現在キャプテン・フューチャーのシリーズは、全て絶版です。 もう1つの短篇集「反対進化」は、今でも読める貴重なハミルトン作品です。
恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1> (創元SF文庫)
- 作者: エドモンド・ハミルトン
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/08/24
- メディア: 文庫







