最近、
再び松本清張の本を手にする機会が増えた。
現在は、
彼の生い立ちから、
小説で成功するまでの内容の本を読んでいる。
若い頃の清張は、
小説から受ける力強い人物とは正反対の、
性格の気弱な人物だった様で
貧乏住まいの苦労が描かれている。
40歳半ばから小説を投稿する様になり、
世間の評判が上がるに連れて、
少しずつ自分に自信を付けて行った
様子が感じられる。
私が二十代半ばの頃、
その頃付き合っていた女性と
松本清張原作、野村芳太郎監督の作品
「砂の器」の映画を見に行った事がある。
前日寝不足だった私は
映画の前半の1時間は寝ていた。
しかし、後半1時間の
丹波哲郎と森田健作の刑事が語る
映画の主人公の生い立ちに、
すっかり目が覚め、
私は画面を食い入る様に見つめた。
そして、映画が終了した。
普通は、我先にと席を立つのだが、
今と違い入れ替え制度がなかったとはいえ、
誰も席を立とうとせず、
観客は、全員2回目に上映される
「砂の器」を堪能した。
私が今までに見た日本映画の中で
ベストワンがこの「砂の器」だ。
そのテーマ音楽の「宿命」を聴いてみよう。