『コンプレックス文化論』 武田砂鉄 2017/07
著者はフリーライター。 文化人(?)のコンプレックスに関するインタビューなどをまとめた本。 コンプレックスが文化を形成してきたのではないかと仮説を立て、しつこく考察していくのがこの本だ。 天然パーマ: 天然水にしろ天然酵母にしろ、天然と名がつけば無条件で歓迎され、その鍛錬が称えられる世の中なのに、パーマだけが天然であることを良しとしない。 重度の天然パーマだった手塚治虫は、髪を洗い乾かすと、クルンクルンが束になって固まり、耳の上の両側が犬の耳のように立ったという。そう、これがアトムの髪型のモデルとなった。 下戸: 下戸は、体質的に酒が飲めない人のこと、に留まらない。酒を飲みたくない人も下戸と呼んでかまわない。自分もこのタイプだが、誰も下戸とは認めてはくれない。「こういうときくらい、いいだろ?」と、詳細の明かされない連体詞「こういう」が年に何度も強権を行使する。 スカート(ポップバンド)澤部渡インタビュー: みんな、壁を越えるために飲みたいらしいんですけど、壁があるから飲みたくないんですよね。 酒場のエピソードは面白い、みたいな前提は勘弁して欲しい。 酒が飲める・飲めないに、人生や人格を絡めないでほしい。もっと別の物差しで見てくれって思いますよ。 一重(ひとえ): AKB48の選抜メンバー16人中16人が二重。ももいろクローバーZも5人中5人、こちらも100%。アイドルが不完全を積極的に愛でてもらうことを想定している時代。しかし、二重が100%という数値を見る限りにおいて、二重はその不完全にすらカウントされていない。 選ぶまでもなく、みんなが二重。 アイドルを目指す人が一重ならば、その活動の入り口にすら立たせてくれない。 少女漫画の世界で、主人公クラスの女性が一重の漫画はないのかと、詳しい知人に尋ねてみると、即座に「思い当たらない」との返信。少女漫画における目の在り方は、潜在的に日本人の美意識を定めている可能性に気付く。↧





