ラスト直前から、胸が締め付けられるような
切なさがこみあげ、
読み終えた後、涙が溢れて
しばらく止まりませんでした。
また、作者の優しさ、迷い、苦しさなどの想いが、
伝わってきました。
所々に出てくる過去の作品の登場人物と
作者自身が同じ目線で向き合っていて、
敬意が払われているように感じました。
「センセイ 僕たちを助けてください」
「僕たちは、ゼツメツしてしまいます」
少年からの手紙。
小説の中に、登場させてほしい。
それは、少年2人、少女1人が、
生き延びるための唯一の手段だから。
今までに読んだことのない作りの小説です。
現実と、現実ではない世界が、混在する。
瞬時に切り替わる様は、見事であり、
わからないようで、わかる、
とても自然で、心に染みいる。
まさに、
「大切なのは、想像力です」
不登校の子どもたちの合宿に来ていた
リュウ、タケシ、ジュン。
中学生のタケシは、小学生のリュウとジュンに、
家出を持ちかける。
ゼツメツの危機から逃れるために。
タケシは、小さな頃から、優秀な兄と比べられ、
兄が先頭となって行うイジメは、
学校全体からの標的となって、
中学生の今でも続いている。
要領のいい兄は、両親からの信頼も厚く、
正反対のタケシは、厄介ものだった。
リュウは、正義感が強く、
クラスメイトが虐められているのが許せず、
立ち向かった為に、自分がいじめの標的になってしまった。
大好きな母は、他界していて、
大切な想いまで、汚されようとしている。
ジュンは、両親が自分を通して、
3歳でこの世を去った姉を見ている事を知っていた。
透けていない透明人間。
やるせない想い。
自分の居場所がない・・・。
自分が安心できる場所がなければ、
生物は、やがてゼツメツしていく。
センセイの小説の中で、
生きる為に大切な気持ちを、
取り戻させてください。
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