「カンガルー日和」 村上春樹 (講談社文庫) 「カンガルー日和」「鏡」など全18編を収録した、村上春樹の初期の短編集です。 所々に佐々木マキのイラストが入っていて、おシャレです。
冒頭の「カンガルー日和」は、彼女と二人でカンガルーの子どもを見に行く話です。 わずか8ページですが、村上春樹特有の味わいがあります。 カンガルーの赤ん坊の誕生を知って1カ月。ようやくやってきたカンガルー日和。 僕と彼女が楽しみにしていた赤ん坊は、しかしすでに大きく成長していて・・・ ありふれた日常の一コマを描きながら、どこか不思議でイミシンな感じがします。 だから、何かほかに深い意味があるのではないかと、深読みしたくなる作品です。 僕と彼女は同棲しているのに、「僕」「彼女」と呼んでいて、夫婦ではなさそう。 彼女はなぜかピリピリしていて、カンガルーの赤ん坊に異常にごだわっている。 彼女は妊娠しているのでは? と、誰でも考えるでしょう。 カンガルーの赤ん坊は、自分の胎内の子を暗示しているように思えます。 ひょっとして、月曜日の朝に二人が行ったのは、動物園ではなく婦人科なのでは? 考えすぎかもしれないけど、月曜日はたいていの動物園が閉まっているので。 ところで、この作品は最近、高校の国語の教科書にも載っています。 学校で教えるには、少し微妙な問題を含んでいると思いますが・・・ 「鏡」も高校の国語の教科書に載っている作品です。この作品もイミシンです。 鏡は何だったのか? 鏡の中の僕は何だったのか? 様々な解釈ができて面白い。 「図書館奇譚」と「1963/1982年のイパネマ娘」は、幻想的で印象に残ります。 特に「図書館奇譚」には羊男が出てくるので、興味深いです。 以上、タイトルを紹介した4編が私のオススメです。 正直に言って、この短編集には「だから、なに?」という作品も入っています。 さいごに。(アマゴをさばく) 宿泊研修では、全員がアマゴを自分でさばいて、塩焼きにしたのだそうです。 アマゴをデコピンで気絶させ、ハサミで腹を切って内臓を出したのだそうです。 しかし娘のアマゴは気絶しなくて、クネクネと動くアマゴの腹を裂いたという。 そのアマゴはとてもおいしかったとのこと。貴重な体験をしたと思います。↧






