作者のポール・アルテはフランス人ですが、舞台は1930年頃のイギリス。
ミステリ作家の娘と婚約していた若い刑事が、ある日そのミステリ作家からディナーに招待される。
招待状には誰にも告げずに9時に来てほしいと書いてあった。
しかたがなく彼は婚約者との観劇の約束を破って家を訪ねると、新聞記者もひとり招待されていた。
だが、家に残っていた家族は誰もディナーのことを知らなかった。
不審に思った妻と刑事と新聞記者は作家の部屋に行ってみるが、ドアに鍵がかかって開かない。
ドアを破って部屋の中に入ると作家は死んでいた。
テーブルには食事が用意され、まだ湯気が立っている。
作家自身の顔は料理の油で焼かれて、実際のところ誰だか見分けがつかない。
窓のそばには何故か半分水の入ったカップが置いてあった。
◇ ◇ ◇
ポール・アルテは密室トリックで有名です。
時代が20世紀前半だからアリだと思いますが、現代では難しそうですね。
犯人の顔が見分けがつかなくなっているとは、なんてうらやましい時代なんでしょう!
この手のミステリは思わせぶりが勝負なので、謎解きされるとどうってことないことが多いです。
その思わせぶりにどっぷりと騙されたいかたにお奨めです。