<内容> 島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが 全体的に重くて暗い作品でした。書かれたのはあの震災の前だったんですが、津波の描写がリアルで読んでいてつらい部分がありました。それに、最初から最後まで誰も罪を裁かれることがなかったのも救いようのなさを感じる要因なのかも。 信之と美花は、東京都に属する島(美浜島)に住む中学生でした。が、ある日地球の裏側で起こった地震の影響で起こった津波(それって、1960年におこったチリ地震津波のこと?)によって家族も友人も全て失います。そして、その数日後信之は美花が数少ない生き残りの一人で唯一の島外の人・山中にレイプされそうになっているところを発見し、怒りのあまり山中を殺害してしまいます。 話は、信之・輔(たすく)・信之の妻の南海子(なみこ)の3人の視点で描かれています。私は、南海子が読んでいてムカつきました。この女大嫌い。男に依存していて、見栄っ張りで、子ども(椿ちゃん)のためって言いながら椿ちゃんのこと全然愛していない自分が一番可愛いと思っている人。そういえば、私って昔から自立したタイプのヒロイン(「あしながおじさん」のジュディーとか「なんて素敵に~」の瑠璃姫とか)が好きだったんですよね…。こういうタイプって昔(少なくとも小学生の頃)から嫌いだったんだ(苦笑)そういった意味では、美花の方がまだ好きかも。ろくでもないのは確かだけど。 「光」って題名だけど、光を感じる作品ではなかったな…。どっちかというと光が強いからこそ生じる「影」の濃さを感じられる作品でした。
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