2016年の第26回鮎川哲也賞受賞作です。
最近の新人が書く本格ミステリーは、設定、キャラクター、文体などに難があって、我慢して読み通し、デビュー作だけで付き合い終了というのが多かったのですが、この『ジェリーフッシュは凍らない』は楽しく読みました。 推理に淫しすぎず、キャラクターも落ち着いており(なんといってもガキや高校生が出ないのがイイ)、テンポも良い。早くも次回作に期待です。 宣伝文句には「21世紀の『そして誰もいなくなった』登場!」とあります。 しかし、『そして~』がサスペンス重視なのに比べて、『ジェリー~』は閉鎖空間での連続殺人の流れを切ってでも捜査の場面を入れ、情報を読者に流し込んでいきます。パズル重視といったところでしょうか。 少し狙いが異なるといえるでしょう。 ネタバレになるので詳しく書けませんが、犯人が用いたトリックは、まったく分かりませんでした。透けて見えることもなく。 読み返せば、注意深く描写されているのでしょう。 上手いと思いました。 しかも、これは映像化可能。 ドラマでも映画でも、やってくれると面白いかも。 警察官が探偵役の本格ミステリーでは、ある程度捜査手続きをデフォルメして描く必要がありますが、この作品は上手くこなしています。 会話も自然だし、仮想設定の部分の説明も上手い。かなり完成度の高い新人です。 一点だけ注文を付けると、視点を置く人物が多いので、もう少し整理すると気持ちよく読めます。 少なくとも、探偵役コンビ、女性刑事とその部下のJ国人(おそらく日本)刑事の二人については、それぞれが視点となるパートが出てきますが、これは、部下刑事の視点一本に絞るべきです。 視点を入れ替えている効果がほとんどありません。 読み手は、視点が変わるとストレスを感じ、読むスピードが落ちます(少なくとも私は)。 最後に一言。 この作品、題名がイイです。↧





