高度経済成長が進む中で、経済的な理由で進学を断念し、町工場や商店などに就職した若者たち。低賃金、長時間労働、そして孤独な日々。そんな彼ら彼女らが熱心に読んだのが「人生雑誌」と総称される雑誌だった。その代表格『葦』『人生手帖』は、それぞれ八万部近く発行されるまでになった。「生き方」「読書」「社会批判」を主題とするこの雑誌に、読者は何を求めたのか?人生雑誌の作り手側にも光を当てながら、この雑誌とその読者がいかなる変容を遂げていったのかを描き出す。戦後史の空白を埋める貴重な労作である!
序章 格差と教養と「人生雑誌」
第1章 戦争の記憶と悔恨ーー荒廃と復興の時代
1 「葦」の創刊
2 「学歴への鬱屈」という駆動因
3 知識人への憎悪と憧憬
4 想像の読者共同体
第2章 人生雑誌の隆盛ーー集団就職の時代
1 「人生雑誌の時代」の到来
2 大衆教養文化と貧困・格差
3 「上京」と左傾のアンビバレンス
4 勤労青年による転覆戦略
第3章 大衆教養主義の退潮ーー経済成長と消費の時代
1 「政治の季節」と人生雑誌の衰退
2 学歴をめぐる変化と「就職組的発想」の衰退
3 「昭和元禄」と「教養」の齟齬
第4章 「健康」への傾斜と人生雑誌の終焉
1 経済成長の歪みと「健康」志向
2 教養の後景化と健康雑誌への転換
3 人生雑誌の余燼
終章 人生雑誌に映る戦後ーーエリート教養文化への憧憬と憎悪
1 大衆教養主義の磁場
2 人生雑誌と大衆教養主義の終焉
3 戦後史の歪みの照射
エピローグ 註 図版出典一覧