『イギリスに学ぶ商店街再生計画』 足立基浩 2013/10
著者は英国で土地経済学の博士号取得、和歌山大学経済学部教授。 地方都市中心部の活性化に関する本。
日本の地方都市の中心市街地の空き店舗率は95年の6.87%から2012年で14%と急増。イギリスでは2012年で9%程度。
イギリスでは郊外型の大型小売店があるにもかかわらず、中心市街地の人口は年々増えているようだという。活性化のヒントは街の魅力の差別化と個性を生かしながらの再生。日本の地方都市衰退は、没個性化とリンクしている。
日本の都市計画はゾーニング性で、要件を満たしていれば簡単に開発許可が下りる。イギリスでは物件ごとに開発申請をチェックするので、審査は厳しく景観が守られる。
イギリスの都市計画の指針はPPG6(Planning Policy Guidance No.6)にまとめられている。PPG6の導入で94年から05年までに中心市街地への商業投資が2倍になった。PPG6は09年にPPS4へ改正された。
イギリスの中心市街地は外観としては伝統ある個性的なまちづくりがなされている一方、時代の要請に応じたサービス・品揃えが豊富である。全国的なチェーン店が8割と多い。高級品店もある。
日本の商店街は個人所有・経営の店舗が多く、後継者がいないと閉めてしまう。
駐車場はイギリスでも格段に整備が進んでいるわけでもなく、中心街の衰退の要因ではない。郊外型の大型小売店が中心街を衰退させるようなことはイギリスでは起きていない。
日本では個人の財産権が極めて強いために、権利関係が複雑な都市中心部を避けて郊外の農地の転用が促進されてしまった。イギリスではPPG6で中心市街地の開発・再生が優先された。
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