直木賞受賞作です。日本経済新聞で連載していたのを読んではいましたが、やはり通しで読むと違いますね。 能登・七尾で武士の家に生まれた信春は、長谷川家の養子となり絵仏師として名声を得ていた。都に出て天下一の絵師になるという野望を持っていた彼だが、主家の内紛に巻き込まれて養父母を失い、妻子とともに故郷を追われる。戦国の世に翻弄されながらも、己の信念を貫かんとした絵師・等伯の誕生を描く。 敵対していた信長が没して不安から解放された等伯だが、その後も永徳を頭とする狩野派との対立、心の師・千利休の自刃、息子の死など、たび重なる悲劇に見舞われる。窮地に立たされながら、それでも己の道を信じた彼が、最後にたどりついた境地とは―。直木賞受賞、長谷川等伯の生涯を骨太に描いた傑作長編。 (「BOOK」データベースより) 能登を追われるようにして京都に辿りついた等伯こと長谷川信春が絵師として頭角を現し、最後には一派を構えるまでの人生が描かれています。 困窮の中からのし上がっていく姿と、大家になってからも続く波乱万丈の人生は読んでいて飽きないです。その人生がどうだったのかを知らないだけに猶更です。 天才絵師の情熱と、多くの肉親を見送った後悔と苦悩は読んでいて重くのしかかってきます。安部さんの筆力ならでは。 ライバル関係にある狩野永徳率いる狩野派との軋轢は「そこまでしなくても」というくらい狩野派がヒール役に描かれているとともに、狩野永徳を凡庸な絵師として表現していて、貶め方がハンパないです。 非常に読み応えのある作品です。
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