夕暮れ、すぐ近くからツクツクオーシの鳴き声が聞こえてきた。鳴き声の聞こえた方角を探すと、北側の窓ガラスに1匹のセミの姿が映っている。ツクツクオーシ、ツクツクオーシとしきりに鳴く。するとどこからかもう1匹のセミが飛んできて窓ガラスにとまった。2匹の距離は30センチほどもあろうか。
2匹のセミは、それぞれすり寄るように近づく。20センチ、10センチと近寄った。ヨメがそっとガラス窓を引いて網戸だけになった。セミは網戸に止まっていた。
2匹のセミは接近して、いつのまにか交接しているようだ。オスのほうから管を伸ばしてミスの体内に納めているのが見える。どれぐらいかかるかと、時計を見た。交接は7時ごろから始まった。オリンピックの野球の試合を観ながら、時折窓のほうを見ると、じっとそのままで動かない。
7時50分、1匹はどこかへ飛んでいった。もう1匹は余韻を感じているかのようにじっとしている。8時10分もう1匹もどこかへ飛んでいった。
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